アルバイト辞典@connect

参加者の皆さんから集めた珠玉のアルバイト体験談まとめ

ゲーセンでバイトをして分かったクレーンゲームの仕組みと罠

「クレーンゲーム 攻略」

「クレーンゲーム 裏ワザ」

 

ぼくはこの言葉をググった事がある。

どの検索結果を見てもそこには夢とミラクルがあふれていた。

 

いとも簡単に、魔術のごとく景品のお菓子やぬいぐるみ、フィギュアをゲットするクレーンゲーマーたち。

すごい! ぼくもこれをやりたい! そう思った。

 

気付いたらぼくはゲーセンバイトをしていた。中の人になっていたのだ。

今回はその実態を語ろう。ゲーセンバイトの「キツい」と「楽しい」を。

そして、あなたの知らないクレーンゲームの真実と裏ワザも。

 

たった800円に込められる願いと欲望の海で

知ってましたか?

クレーンゲームの景品は原価800円以下です。高くても800円という事を。

欲しくてしょうがないフィギュアに何千円突っ込んだところで、所詮それは仕入れ値800円の安物なのだ。

 

これは風営法で決まっていて、一定以上のフロア面積のある「ゲームセンター」では、それ以上に高額な景品を置けない。

逆に、売り場面積のちっちゃい「ゲームコーナー」にプレステやゲームソフトの景品があるのは法的にオッケーなのです。

 

では、いわゆる普通の「ゲームセンター」でバイトをして、あなたがクレームを受けたとしよう。

ぶっちぎりで一番多いクレームだ。クレーンゲーム機の前で相手はこう言うだろう。

 

「これずっとやって○千円使ってんだけど! でも取れないんだけど!?」

 

いい歳こいたオトナたちが、数千円や1万円の出費で発狂しているわけだ。

800円のフィギュアが取れなくて顔を真っ赤にしている。

ネットオークションやAmazonで安く変えるのに、だ。

 

「……じゃあ買えば?」とは心の中でしか言えないから、その時あなたはコレの相手をしなきゃいけない。

ここがゲーセンバイトのキツいところだろう。

 

「ちょっと落とすとこ見せてよ。これ本当にゲット出来るの? やって見せてよ?」

次に相手は大体コレを言う。

そうなのだ。毎日のようにコレの相手をするのがゲーセンバイトのお仕事だ。

ぼくが経験してきたあらゆるバイトの中で、最もクレームトラブルが多かったのがこのゲームセンターだ。

パチンコとは違って、そもそも相手は「○千円、○万円負ける前提で」来店していない。

ほとんどの人がその可能性さえ考えないで最初の100円を入れるのだから、それは怒るだろう。

たった800円。たった800円の景品と、そこに賭ける喜びと情熱と怒りと。

ぼくはすぐに知った。クレーンゲームって闘いだったんだ。

 

ゲーセンバイトであらゆるサブカルの最先端へ飛び込もう!

モンスタークレーマーとの闘いは決して孤独じゃない。

ゲーセン店員たちはインカムで常に連絡を取り合って情報を共有する。

そのブースのアームパワーなどを設定した社員やバイトがいれば、そのクレームへの対処方法を教えてもらう事だって可能だ。

 

そして当たり前の事を言おう。

ゲーセン店員は巡回中にクレーンゲームのテストプレイをやり放題だ!(遊びに見えるくらいやりすぎると怒られる)。

やらなきゃお客さんに取り方のアドバイスが出来ないんだから、お客さんが100円払うものを、店員はタダでテスト出来る。これがゲーセンバイトの楽しいところ。

 

フロアにいる仲間たちが自分の得意としている景品の取り方や、テストで落とした経験からアドバイスをくれる。みんなで闘えば恐くない! 大丈夫!

 

バイトは多くが大学生で、歌い手もコスプレーヤーもロリータも腐女子もYouTuberも普通にいる。

ただのアニオタなんて霞むようなパンチ力を持った人たちと、あらゆるサブカルの最先端を吸収しよう。

まだみんな知らないけどこの後確実に流行るゲームにアニメに漫画、クレーンゲームの景品や一番くじなどの情報を異常な速さで入手できるのだ。あなたがそういった分野が好きなら、最先端の情報に囲まれた毎日を過ごす事が可能となる。

 

次は、アルバイトでありながらクレーンゲームの設定をしていたぼくが知った、「クレーンゲームの真実と裏ワザ」の話をしようと思う。

 

さあ、目を覚まそう! クレーンゲームの真実

最初に1つの結論を言おう。取れないものは取れない。

そもそも良い事故も悪い事故もある。良い事故をラッキーなゲットとすれば、悪い事故とは「物理的に不可能」を意味する。

 

「最悪の条件」は見ても分からない

店が予測もしていない状態で、クレーンゲームは平然と稼動している。

悪い事故なんて今この瞬間にも現場で当たり前に起きている。

 

◆もし、設定する際のテスト時から0.1ミリだけツメの角度が曲がっていたら?

◆中のパネル(景品が乗っている土台)が、設定時よりミリ単位でもズレてしまっていたら?

◆サービスボタンを押す時に、店員が間違ってアームパワーのつまみに触れていたら?

◆店員が何度もテストキャッチして設定した時とはまるで違う重心の個体が今乗っていたら?(箱に入ったフィギュアやお菓子で、箱の“中身”が動くものがいっぱいある)

そもそもMade in Chinaの原価800円の安物だ。重さも形状も状態も全て同じじゃない。

 

そもそも作られた「前提」が崩壊しているブースが乱立しているのだ。

物理的にゲット不可能の個体がどれほど多い事か。しかもそれは見ても分からない。

「取れない」というクレームを受けたなら、まずは最初に景品を取り替えて試してみたり、箱を振って中身を動かしたりしよう。同じ場所から一撃でゲットさえ可能になりかねない「中身の重心」や「個体選び」がやがて理解出来るようになるだろう。

 

そもそも自力で取らせる気なんて無い!

ウソの様な話だと思いませんか? それこそ「前提」をぶっ壊してるとぼくは思う。もうそれ詐欺じゃん。

テレビでドヤ顔を決めながら景品ゲットしまくる芸能人でも、この世界でいちばんクレーンゲームが上手な人でも、「自力で取れないように設定された」景品は100%実力では取れない。

 

“じゃあどうやって取るんだよ”……への回答が次の2パターンだ。

 

  • 店員が魔法を使う

最近多いのがコレ。スポーツも出来ちゃう某大型レジャー店はコレにシフトしつつある。

自力で取れないんだから、ある程度金を突っ込んだ客の所へ店員が寄って行く。あと1回で落とせる所へ景品を移動する。そして言う。

「ごゆっくりどうぞー」

 

  • 文明の利器が火を噴く

今の時代は、景品の原価と希望の原価率をクレーンゲーム機に入力する事が出来る。

つまりは「○千円入るごとに景品1個ゲットさせてあげて!」と機械に頼めるのだ。

その金額に達するまでは、事故でも起きない限りまず景品が落ちない設定がある。

これをペイアウトサポート(ペイサポ)と言うのだが、こいつは賢い。

連コインシステムなる物も搭載し、現在1人の客が立て続けに金を入れているのか、何人かがパラパラ金を入れただけなのかどうかを自動で判断する。「○千円連コインした人にはアームパワー開放!」まで設定可能だ。

 

今のクレーンゲームに実力なんてほとんど関係ない。狙った所にアームを正確に落とせるかどうか、その程度しかない。

タグを狙ってツメを引っ掛ける? そもそもあらゆるパターンと事故を店員が設定の際にテストでチェックしている。小細工で取れたなら、それはただの不要在庫という事になりますね。

目安としては1,000円~2,000円で立て続けに取れる景品もまた、店にとってただの不要在庫と考えて良い。

 

人気が出ると分かりきっている景品にははなから「闇設定」が入っている事が多い。あなたが思わず「欲しい!」と感じる景品は、きっと他の人から見てもそう見えるのでしょう。つまりそれは「売れる景品」なのだ。あなたが金持ちじゃないのなら、それってどういう意味なのかを考えてから金を入れよう。

 

蛇の道は蛇 クレーンゲーム攻略記

邪悪な設定の裏を狙え

 

“○千円ごとに景品1個ゲット”の命令で動くクレーンゲーム機を業界では確率機と呼ぶ。

ゲームセンターや、イ○ンのゲームコーナーなんかで入り口に置かれている、大きなぬいぐるみを持ち上げる大きなキャッチャーのマシン。あれもそうだ。

つかんで持ち上げるけど天井近くでポロっと落とす。動きがダイナミックだから、必ず店頭に置かれてアイキャッチに使われる。これが確率機だ。

それ以外の機械もほぼ“○千円でサポート発動”のシステムが搭載されている。

 

簡単な事だったんだ。それを逆手に取れば良いではないか。

これこそ最も楽な攻略なのである。

 

どれくらいお金が入るごとに(何プレイぐらいで)ゲットが出るのか?

人のプレイを見ていれば良いんだ。そしたらすぐにゲットの“確率周期”が分かる。

何人かが数百円ずつ入れる事もあれば、一人で“その手前”まで入れるケースもある。

“その手前”で先客が離れたのなら、言うまでもない。ゴールが目の前なのである。

 

景品をオークションなどで売る「転売ヤー」たちは全員この知識を持っていて、要らないけど取れる(金になる)景品をそつなく“回収”する。

 

ちなみにゲーセンの景品や一番くじの転売で、並のサラリーマン以上の収入を得る転売ヤーもいる。

原価数百円のゲーセンフィギュアにプレミアがついて数万円で取引される事だってある。

 

取れる人には取れる

 

冒頭の「取れない物は取れない」に矛盾するだろうか? 少し意味が違う。

狙うべき場所、弱点を「知っている」人たちは存在する。

これが世間で言う上手い人、となる。

 

そんな“狙うべきポイント”を熟知した人たちが、その狙いを当てまくるラッキーDAYがある。

なぜそんな事が起こるか?

基本的にクレーンゲームの設定は常に変わっている。

狙った原価率を目指して常に調整がされている。もはや昨日と今日では全くの別物になっているとさえ言えるほどだ。

 

景品をいくつも持っているベテランが大当たりしている日、やる事はひとつだ。同じ事をすればいい。

同じように狙って、同じような方法で落とす。それ以外には手を出さない。これが一番の近道である。

時には設定の裏を狙った「事故落ち」を連発していたりもする。ただそれのマネをすれば良い。

 

そして、ブースの状況やその日のゲットの様子から熟考して、数回やってみよう。もし取れるか分からない状況ならば、“やめる勇気”を出す事を何よりおすすめしたい。

もし店の想定以上に“辛い”状況になっていたなら、次の日には“ユルい”設定になっている事が多いのだ。店だって目指す最低原価率があるから、もし1日全然ゲットが出なければ次の日には“取らせる”ための設定に変えているケースが多い。

 

最後にクレーンゲームに関して、そしてゲーセンバイトに関しての助言を。

 

ゲーセンバイトとクレーンゲームの関係

まず欲しい景品があれば、Amazonでも何でも良いから、その景品を買った場合は幾らかかるのか? これを調べよう。

あなたがその景品を「欲しい」だけなら、まず買った方が安いだろう。

もしもその売値より安く、あるいは同等の金額でゲットする自信があるのなら金を入れれば良い。

 

あなたがその景品の入ったクレーンゲームを「遊びたい(あわよくば欲しい)」のなら、最終的には手に入らない結末を考慮して金を入れよう。

 

店員としてクレームに対する時にもこのスタンスを曲げてはいけない。

あくまでもクレーンゲームに払うのは「プレイ料金」であり、「景品の値段」ではないのだ。

客を突き放さないために「さっきこの景品をゲットした人はこういう風に狙ってましたよ」と、実機は使わずに自分の両手をアームにして実演してあげればいい。たとえそれがウソでも。

 

本当にあなたが「助けたい」と思えるお客さんだったなら、実演後に重心を動かして景品を戻したり、さりげなくアシストした位置に置いてあげればそれでいいんだ。

ちなみにゲーセン店員は元々クレーンゲーマーが多いが、その実態を知ったらほとんどやらなくなります(一部の設定を除く)。

 

あなたもクレーンゲームに興味があるなら是非1度ゲーセン店員をやってみよう。

手を出してはいけないブースが分かったり、途中で放置された景品を見て、あと何回くらいで落とせるのか、そういった知識が身に付くし、最新機種の裏情報を内部から知る事が出来るのだ。

 

ゲーセン店員をやる事をよく考えなきゃいけないのは、数百円相手にゴネるオトナの醜い一面を見るのがイヤだという人、そして子供のワガママにイラっとしやすい人だ。

 

クレーンゲームは闘いである。

好きだからこそ設定と闘う武器が欲しいならやってみよう

欲望とサブカルとウソたっぷりの、ゲーセンという名の大海原を泳ぐのだ!

 

筆者

name:おもち

 

カラオケ店、ペット用品通販会社、パン職人、ゲームセンター店員、営業マン、出版社を経て会計事務所へ。

自身のアルバイト時代の経験と出会いに、今でも支えられています。

何か気になることがあったらいつでも訊いてください。